小説・エッセイ
「もう一つの日本」を求めて : 三島由紀夫『豊饒の海』を読み直す
井上隆史
現代書館 · 2018年2月 · 「いま読む!名著」シリーズ 12
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内容紹介
三島由紀夫『豊饒の海』は社会的事件ともなった1970年の自衛隊での自決直後に完結した遺作ということもあり大きな話題となったが、全4巻の大著ということもありきちっとした読み解きがなされているとは言いがたい。本企画のねらいは、様々なテーマを内包している大作を、作品の重要な背景のひとつでもある高度経済成長の後、長い不況に陥り、さらには東日本大震災と原発事故を経た21世紀の日本を見通していたかのような予見的な作品と考えるという一点を基調にして読み直すことにある。この大作で終局に示される「虚無の極北」-進歩主義の果てにたどりついたブラックホールのような世界観は、日本に限らず現代社会すべての人々の深層に共通する感覚と言っても良いだろう。その状況を越えて、目の前に現前している世界とは別の「もう一つの日本」を探すための水先案内として三島の大著を読み直すということを試みる。
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