内容紹介
恐怖が実相であり、 平穏は有難い仮象にすぎない。 何も変わりはしない。 日本文学界の巨星が遺した晩年のエッセイを集成。 単行本未収録作品「林は日々に新しい」を追加。 解説=佐々木中「古井文学は万人の歌となる」 カバー装画=諏訪敦「古井由吉ver.1」 読むことと書くこと、古典語のおさらい、天気天象、花の香り、紅葉や黄葉、老い、死、大病と入院、ボケへの恐怖、最初の記憶、悪疫退散の願い、阪神淡路大震災、東日本大震災、永劫回帰、大空襲下の敵弾の切迫など、多様なモチーフを端正かつ官能に満ちた文章で綴る。 [目次] 1 夜の楽しみ 達意ということ 病みあがりのおさらいーー島崎藤村、ホーフマンスタール 永劫回帰 紙の子 写実ということの底知れなさ 「が」地獄ーー芥川龍之介 日々の仕事 ティベリウス帝「権力者の修辞」--タキトゥス『年代記』 招魂としての読書 休暇中ーーカフカ 「文学は可能か」の泥沼で 老躁の風 いつもそばに本が 漱石随想 謎の書き込み 赤い門ーー夏目漱石 初めの言葉として《わたくし》--永井荷風、森鷗外、徳田秋聲、太宰治 2 埋もれた歳月 顎の形 夏に負ける 正月の安息 静かな新年 大年の静まり 年越し 時「字」随想 危/復/節/安/熱/萩/豊/水/炭/寒/雨/花 日記 プロムナード 身はならわしもの/よく見る、よく聞く/一寸の針/歯をくいしばる/夏の夜/時間をたずねて/年月の昏乱/六十五年目/撫子正月/虫の声/お彼岸過ぎ/囓りかけの林檎/空白の一日/後の月/土の上に/晩秋の匂い/人も年寄れ/年の瀬の奇遇/小春日和/討入り/穏やかな冬至/御用納め 楽天の日々 「閉店休業」のかなしみおかしみ/閑と忙のあわいで/『断腸亭日乗』を読む/夜眠れなくなる商売/夏の精勤と軒の蔭/風に吹き抜けられる/遁世出離への「経済」/深くは解そうとせず/「照る葉」に荘厳を思う/風に埃の走る日には/降り積む雪の/日々に薄氷をふむ/来し方の花の消息/悪疫退散の願い/水のおそれと住居/赤ん坊はなぜ笑うか/蝉時雨と皆既日蝕/闇の中で白く光る/耳の記憶と恐怖/物覚えの勘定書き/辻々で別れ別れて/正月二日の流星/鳥は羽虫、人間は裸虫/空襲の夜の雛人形 草食系と言うなかれ 泰然自若の猛獣 大都市の山 老熟の有用知らぬ荒涼 人は往来 水豊かな城下町を包んだ炎 根岸 越す もう死んでいる 林は日々に新しい 節を分ける時 自足の内から嵐が吹く 親の趣味 震災で心に抱えこむいらだちと静まりと 地震のあとさき 知らぬ翁 龍眼の香り 安堵と不逞と 解説 古井文学は万人の歌となる 佐々木中
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