シカルの井戸

人文・思想・社会

シカルの井戸

伊藤冬留

書肆侃侃房 · 2025年2月15日

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内容紹介

遠く 記憶の向こうから  聞こえて 来るもの それは 蒸気機関車の  車輪の音と 汽笛 新芽を出した ばかりの 落葉松の 林の脇を 添うように 郭公が 鳴いている 冬留さんは、80歳になった年に、ヤマメ釣りを終えた。美絵子さんもそれに従い、竿を置いた。体力や山中での過ごし方に限界を感じたというのである。人生の終盤を彩る良い釣り旅だった、とも言った。その最後の釣行の日、色づき始めた大きな楓の枝がさしかかる浅瀬で釣っていた冬留さんの竿に大物がかかったが、手元にきてバラした。逃した獲物はまさしく大きかったと笑っておられたが、詩人らしい、静かで潔い竿仕舞であった。 平和と安息の生活を希求する詩人の人生の旅路における心象が刻印され、シカルの井戸の傍らで聞く水音のような、予知・予言の「ことば」が響いているこの一書を持ち、森に行き、ページをひらく日のことを、いま、私は思っている。 (九州民族仮面美術館館長 高見乾司) 1 流星 風が 川蟹 絶滅危惧種 薔薇組 老いの暮らし 来る時代 冬の旅 みえこ 驟雨 来世 風 時計 さくら さくら 大失敗/神社の山/国破れて/太平洋/男女共学/節穴の教室/新校舎落成 わっぱ先生 もう一人の兄 履歴書 ピクニック 償い 2 シカルの井戸 濁り酒 ルードイッヒ ガリ版文字 詩 汽笛 未来 ぢいぢと ばあば 火事 骨 ラッシュアワー 望郷 書斎にて 付き添い お祈り 卒寿 しまったですな 親父 放浪の画家 穂高連峰 夏落葉 記念写真 臨終 帰宅 父と子(一) 父と子(二) 贈り物 病む妹へ 金魚 螽斯 ザック 「詩人の旅」高見乾司 これからも詩を

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