ぬかるみのような恋バナをしてみたい
兼本浩祐
リフレ出版/東京図書出版 · 2023年4月19日
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内容紹介
兼本浩祐 待望の第六詩集 甕の中には誰もいないが僕は寂しくはなかった 私のために傘をさしてください 私は表在神経だけの生き物になる ジベルバラ色粃糠疹 そんな剝き出しの死を きっと私は感染する じじいはどこにいるんじゃ あるいは赤が現れる 私は本当は右の乳首から機械になりたかったんだって 蟻を爪に描か けてその爪を噛めるから あんずの木には恐ろしい毛虫がいたのだそうです 近場にいる生きものといえば 昨日スタバで二人の女子高生が 犬とか猫とか玉手箱とか アリスのうさぎが手招きする ちょっと油断しただけなのに 君はそういうけどね ねえ、マーマレードを塗ってちょうだい たまごはきっと部屋のどこかで腐っているわ 水が漏れているのよね 卯の花くたしと書いてみたい 梨のパンナコッタというお菓子を 小さな野菜畑を作ってみたら とある雨模様の寒い日に 今年は金木犀の匂いがしないわと 通勤途中203 私は細々と暮らしているだけでいいの 横たわってみる月は きりきりきりときりもみのような せ、せ、せくせか 今朝は快晴にして晴天 そこに砂を噛む生き物がいたとしても 愛しのラブラドール 怠惰な背中をした君のことを考えている 小さな悔恨が延々と心の中で反響するのは ぬかるみのような恋バナをしてみたい 蟹みたいに口から泡を吹いてみる
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