マリアさま

マリアさま

いしいしんじ

リトルモア · 2019年9月7日

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内容紹介

いしいしんじ 3年ぶりの小説集ーー 『マリアさま』 2000年〜2018年のあいだ、様々な媒体で書きためられた短篇・掌篇より、 「新生」をテーマに、27篇、選りすぐりました。 ー - - 森羅万象きらめく、 片隅で掬われた、って、 これは、そんなおはなし。 ー - - 動かなくなったトビをぷいと吐きすて、私は再び身構えました。ばさばさとトビたちがはばたく気配がします。私は、もう見えない目でにらみつける。 ーー「犬のたましい」 本日は、祖父、晴臣をしのぶ会にお集まりいただき、まことにありがとうございます。孫の新子と申します。 ーー「とってください」 ごほり、ごほり、と濁った咳をティッシュペーパーでうけ、いいかい、と目線でたずね、こちらがうなずくとてのひらの上で紙をひらいてみせた。溶けたチョコレートのような粒々がそこにあった。「土だよ」 ーー「土」 「こんばん、西の山へいってみないか」横顔をむけたまませせらぎは黙っている。ゴトリ、ゴトリ、水車がまわり、だんだんとそれは、足もとの地面がゆっくり回転する音にきこえだした。せせらぎの手は砧を撫でつづけ、俺はふうと息をつき、川辺を離れた。 ーー「せせらぎ」 今日みたいにドライブがてら、「おそと」で音を拾って歩く姿を、わたしは物心ついたときから見なれている。十代半ばからは、京町家に泊まりにいった翌朝には、ほぼ決まってわたしを連れ、ケンチさんは「おそと」へでかけた。まるで、かたく閉じかけていたわたしの窓を、外いっぱいにひらくように。 ーー「自然と、聞こえてくる音」 虎は身を揺らせながら銀座通りを歩いている。歩行者天国ならぬ虎天国である。さすが銀座通りだ、と思う。 ーー「虎天国」 他、全27篇。「物語」の力、「物語」を読む時間を、大切に思える、一冊です。

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