人文・思想・社会
中上健次論
渡邊英理
インスクリプト · 2022年7月
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内容紹介
中上健次の文学を(再)開発文学の視座から捉え、ポストヒューマンをも射程に収めつつ、複数の方向に開かれた路地の「仮設」性に、脱国家・脱資本を志向する〈路地のビジョン〉=中上思想の可能性の中心を見出す。一見すると古く、停滞しているように見える路地。しかし「それは、状態として見れば停滞であるが、「運動として見れば抵抗である」(竹内好)」。「進歩」や「成長」が、実のところ荒廃や壊滅を意味する現代に、中上健次のアクチュアリティを問い直す、新世代の思想=文学論。 はじめに 第一章 「戦後」/(再)開発文学と「はじまり」─「一番はじめの出来事」 一 「はじまり」と地図 二 〈秘密〉の避難所 三 未必の故意 四 忘却の記憶 五 記憶の身体 六 群れ・雑草・動物 第二章 動物と私のあいだ─「熊の背中に乗って」「鴉」 一 テクストの生態系 二 間にあるもの─動物と言葉 三 まなざしと「死の記号」─動物と「私」 第三章 性愛と争闘─「偸盗の桜」「鬼の話」 一 性・生・政 二 転換の時空─「偸盗の桜」 三 書かれぬ声・群れの女たち─「鬼の話」 第四章 被差別の人類学、賤者の精神分析─「石橋」 一 「問という大岩」 二 路地/部落と(再)開発の文脈 三 路地の「民族誌」と非規範的親族関係(クィア家族) 四 夢の言葉・夢幻能・精神分析 五 夢幻能と性/政治 第五章 (再)開発と「公共性」─「海神」 一 脱国家/脱資本的な社会 二 「無限のエコー」 三 謡曲と神話分析 四 被差別・土地・資本 五 〈路地の公共〉、共有地 六 治癒と「公共性」 第六章 路地・在日・スーパーマーケット─「海神」「石橋」「花郎」 一 「戦後」批判/(再)開発文学 二 在日朝鮮人の「スーパーマーケットの天皇」 三 路地の「一九六八年」 四 「国民」という境界 第七章 媒介者の使命─「葺き籠り」 一 道路・スーパーマーケット・天皇 二 媒介者と侵入者 三 法の内と外 四 媒介の(不)可能性 第八章 生命の縁起、脱人間/人文主義─『千年の愉楽』 一 路地の「モダニズム」/「魔術的リアリズム」 二 資本・貨幣・生命 三 共訳不可能な「生」、「生類世界」 第九章 仮設と雑草─『地の果て 至上の時』 一 仮設、隙間的な時間と空間 二 山林・街道・路地 三 草の葉とことの葉(言の葉・事の葉) 四 群れ、兄たち 五 水の花、雑草の火 註 初出一覧 あとがき 謝辞 細目次 索引
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