Reviews
千葉聡の本のレビュー
この著者の本に寄せられた読者のレビューを新しい順に並べています。
- 「科学的に正しい」の罠

面白いけれど難しい!
かなり面白かったけれど私がバカなのでなかなか読むのに骨が折れた。 えっちらおっちら読んでいくと、最終章で作者の立場が表明され、えー!そうだったの??というちょっとした衝撃も味わえる。 私自身、二元論的な議論(で、あなたはどっちの人間なの?というやつ)が大変苦手だ。色々な立場や価値観に考えを巡らせてちゃんと考えれば考えるほど中途半端な努力目標のようなモニョモニョとした答えになる。 AIとの会話で捗るのも、こうした明確な回答の出ないモニョモニョの壁打ちのような話題の時が多い。 しかしながらこうした問いは無意味じゃないのかもしれない、と思わされた。 まだまだ私自身、変な価値観やバイアスで後から冷静になって考えたらヤバい方向に邁進してしまう可能性が否定できない。 それでも何となく「正しさは人を救わない」というのをいつも考えている。誰かにとっての心地よい正しさは別の誰かを不幸にするなんて往往にしてあるからだ。 というか、幸せと正しさってあんまり相関じゃないかも? こういうモニョモニョを普段から考えているので、本書のような言語化と問いかけは非常に刺激になったし、内省をさらに深めたくなった。 自分だけは正しく判断できているという謎の自信、よく見かけるし、自分もそうなってたら嫌だなと思う。そうならないようにするには…?の方向性が書いてある本書だけれど、言うは易し行うは難しという感じもある。でも難しいからといってやらないわけにもいかないよなぁ、大変だなぁ。 と、結局いつも通りモニョモニョする私だった。
- ダーウィンの呪い

分かりやすい説明が一番怖い
特に生物学に明るくない人間でも、ダーウィンや進化という言葉はそこかしこで耳にする。本を読んでいればなおさら、生物とは全く関係のないところでもダーウィン関連の話がちらほら出てきたりする。たまたまネオダーウィニズムを批判している本に出会って、そこからこの「ダーウィンの呪い」に興味を持った。 本書は、ダーウィンの進化論そのものではなく、ダーウィンの進化論(科学)が思想と融合して別の何か(ここでは主に優生学)が生み出されていく過程と事例とを、歴史を辿って丁寧に書き出してくれている。 科学は、思想には勝てないのだろうか。どんなものであれ適切な距離を保つことが重要だと思うのだけれど、思想に関してはそれが非常に難しいのだと痛感させられる。 少なくともこの本の中で再三再四繰り返されるのは、「簡単で単純な説明」ほど怖いものは無いということだ。分かりやすさにはリスクが伴う。自分たちの身近なところでは政治や経済なんか特に危ないと思う。「分からないところが多い時に決断しない」というのは、優生学に反対していた人達に共通する考え方として、私も参考にしていきたい。