内容紹介
19世紀ロシアの一裁判官が、「死」と向かい合う過程で味わう心理的葛藤を鋭く描いた「イワン・イリイチの死」。社会的地位のある地主貴族の主人公が、嫉妬がもとで妻を刺し殺すー。作者の性と愛をめぐる長い葛藤が反映された「クロイツェル・ソナタ」。トルストイの後期中編2作品。
レビュー
重〜い。でも読んでよかった。
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✴︎イワン・イリイチの死 出世や体裁を重んじて生きてきた裁判官イワン・イリイチが、原因不明の病にかかり死に直面する物語。 周囲の人々は彼の苦しみに無関心で、孤独の中で自分の人生を振り返る。 最初は死を恐れ否定するが、次第に「本当に正しく生きていたのか」と気づき、最後には死を受け入れて安らぎの中で息を引き取る。 ✴︎感想 死がじわじわと彼を蝕んでいく描写がとにかく生々しくて、読んでいて苦しい。 でも不思議と、死に近づくほど心は少しずつ解放されていくのが印象的だった。 当たり前だと思っていた人生が崩れていく中で、「本当にこれでよかったのか」と向き合う姿が刺さる。 ただの死の話じゃなくて、生き方を突きつけられる 実在する裁判官の死をきっかけに構成している ✴︎クロイツェル・ソナタ 列車の中で出会った男ポズドニシェフが、自分が妻を殺した過去を語り始める。 彼は結婚生活の中で嫉妬と不信に苦しみ、特に妻が音楽家とベートーヴェンの「クロイツェル・ソナタ」を演奏したことをきっかけに疑念を募らせていく。 やがて激しい嫉妬に支配され、衝動的に妻を刺し殺してしまう。 ✴︎感想 夫婦とは何か、愛とは何かを突きつけられる一作。 妻を殺した男の告白を通して、歪んだ夫婦観や女性観、そして嫉妬と性愛が暴力へと変わっていく過程が生々しい。 なぜ彼がそこまでの思想に至ったのかを辿るほどに、読んでいて息苦しくなる。 ラスト、自分の犯した罪に気づき苛まれる余韻が強く残る。
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