私のアメリカ人文紀行

人文・思想・社会

私のアメリカ人文紀行

徐京植

みすず書房 · 138ページ

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内容紹介

〈ワシントン滞在がある程度長くなった頃、在米同胞の有志が私を夕食に連れ出してくれた。コリアンレストランでポトマック川名物の蟹料理が出た。だが、帰途の車中で変調があらわれた。全身の皮膚に堪え難い痒さを感じた。運転してくれている同胞青年にそのことを訴えようとしたが、できない。気がつけば、英語でも朝鮮語でも「痒い」という語彙が私にはないのだった。「社会安全法」とか「基本的人権」とか、「天井から吊るして棒で殴る拷問」などということは英語ででも朝鮮語でも話すことができた。訪れる先々でそんなことばかり話していたからである。だが、「痒い」という簡単なことが言えない。日本で生まれ育ったために日本語以外の日常生活用語の語彙がないのだ。私はひどく疲れていて、神経過敏になっていた〉 在日朝鮮人として日本・東アジア・世界に向けてさまざまな時代批判を続け、2023年12月に急逝した著者が、死の前日まで書き連ねていた遺作を刊行。軍事独裁政権下の獄中にあった兄二人など韓国良心囚の救援を訴える目的での渡米はじめ数回に及ぶアメリカ滞在中に出会った人々・絵画・音楽、さらに敬愛するエドワード・サイード考などを軸に、トランプのアメリカ、ウクライナ戦争、イスラエルのガザへの侵攻まで、著者の最後のメッセージが痛切な思いとともに描かれる。図版多数。 ニューヨーク 2016年 ワシントン デトロイト ニューヨークふたたび サイード 1 サイード 2 おわりにーー善きアメリカの記憶のために 図版・写真一覧

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