ガールズ・ノワールズ

ガールズ・ノワールズ

霜月蒼

左右社 · 2025年9月

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  • Bびー

    2026年7月15日

    己の小ささを思い知らされた(色んな意味で

    女性が書いた、女性キャラクターがカッコいい小説って少ないよなぁと思っていたのだが、単に私が知らないだけだった。また作品を知っていたとしても、それが女性のカッコ良さであると気づいていないものもあった。作品に出てくる女のカッコ良さって具体的にどんなことなのか、著者に教えてもらっている気分だった。 私はこの本を読んでいるとき、著者のことをずっと女性だと思っていた。(簡単にググったときになぜか女性の写真が出てきて勘違いした) はじめにでも触れられてたのに特に気にせず、最後まで読んであとがきで著者が男性と知って、思わず本を取り落としそうになった。 私は勝手に『女性が受けていた/受けている抑圧や苦痛やあらゆる暴力による被害は、男性には永劫理解できるはずがない』と思い込んでいた。だから著者が女性であると疑わなかった。でも違った。 女性のカッコ良さも女性の受ける苦痛も抑圧も、男性である筆者に教えてもらっていたと気付いて、目を開かされた気持ちになった。

みんなの引用・メモ

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  • 引用p.222
    ここにノワールと呼ばれる小説の困難がある。なぜなら、小説を構成する「言葉」というものは私たちの理性の産物の最たるもので、その言葉によって外界を写し取ろうとする「執筆」という行為は、きわめて理性的な営為だからである。  理性によって非理性を捉えようとすること。整然とした理性のロジックによって、理性から逃れつづける非理性の混沌を捉えようとすること。それがノワールを書くことの困難で、この困難への挑戦によって、ノワールという小説の可能性は開かれてきた。
    Bびー2026年7月15日
  • 引用p.159Chapter 5 やつらをくいちぎれ
    要するに「悪女」という言葉には、「女の武器」で判断を誤った男を正当化しようという意図がある。己の性欲がコントロールできなかったというだけのことを、女性を「悪」とすることで優位に変えようとしているわけであり、そんなものはミソジニーを抱えた負け犬の遠吠えでしかない。
    Bびー2026年7月14日
  • 引用p.153Chapter5 やつらを食いちぎれ
    ここで『わらの女』のことを思い出そう。「女の武器」を使って生真面目に成り上がろうとしたヒルデガルドのことを。かつて評論家たちは彼女のことを口をそろえて「悪女」だと言った。いま彼女の物語を読むときに私たちが見るのは彼女の健気さだ。  そんな彼女を「打算にたけた中年女の虚栄の醜さ」(一九六一年版『わらの女』あらすじより)などと嘲笑うやつらが六〇年代にはいたのだ。きっと今もいる。『真紅のマエストラ』は、そういうやつらを殺す物語なのである。
    Bびー2026年7月14日
  • 引用p.137Chapter4 銃を持てない娘たち
    あと戻りのできない道へと踏み出そうとするとき、ピップがつぶやくのは「警察にはしんじてもらえない」という一言だ。大人は子ども/女/黒人/貧しい者の言うことに耳を傾けてくれない。だからセイディはたったひとりで殺人者を追い、スターは警官隊の前に立ちはだかって叫び、ピップは自力での正義の実現を決意した。さんにんはそれぞれに命がけで問うているのであるー正しいことは本当に正しく、悪いことは本当に悪いのかと。  私たち大人に問うているのだーお前たちは本当に正しいのか? と。
    Bびー2026年7月13日
  • 引用p.128Chapter4 銃を持てない娘達
    スターが選びとるのは、声をあげることだ。父が警官にいやがらせをされるのを彼女は見た。キングが密告者の家にマシンガンの弾丸を浴びせるのも見た。それでも声をあげる。いや、だからこそ声をあげる。それ彼女の唯一の武器だからだ。  本作は勇気の物語なのである。スターが声をあげ、警察に挑戦すると、町のひとびとも声をあげはじめる。暴動ではなくデモをはじめる。それでも彼らを押さえ込もうとする警官隊に「声」で立ち向かう。その中心にいふのがスターだ。催涙ガスの立ち込めるなか、隊列を成す警官隊に対峙して、スターは拡声器を握りしめ、カリルという少年が確かに生きていたのだと叫ぶ。
    Bびー2026年7月13日
  • 引用p.120Chapter4 銃を持てない娘たち
    ハードボイルド探偵小説の名匠レイモンド・チャンドラーは、「ヒーローとしての私立探偵」を、「卑しい街を行く騎士」という言葉で形容した。セイディが行くのも卑しい街だ。そこは子どもが行くべきではない場所であり、そこを行くのは大人の仕事のはずである。でも彼女にふりかかったいくつもの不幸が、彼女を卑しい街での「孤独な正義」の遂行に向かわせた。しかもこの騎士には輝ける甲冑もなければ剣も槍もなく、くまびれたTシャツと煤けたブランドに染めた髪と、ポケットのなかのナイフと、命がけの決意のみがある。それだけで武装した少女。こんなに悲壮なハードボイルド・ヒーローを私は知らない。
    Bびー2026年7月13日
  • 引用p.69Chapter2 苦痛の中から
    『開かれた瞳孔』には、犯人のみならず、さまざまなタイプのセクシストやミソジニストが登場する。女をコントロールしたがる男。女子学生を嘲笑う男子学生。利己的な性関係を持つ男。男らしさを証明するために女を蔑む男。酒に溺れて女に頼る男。マイクロアグレッションから殺人まで、さまざまなグラデーションのミソジニー。スローターの敵はそれなのだ。
    Bびー2026年7月10日
  • 引用p.68Chapter2 苦痛の中から
    (彼女を殺せなかったものが 『開かれた瞳孔』カリン・スローター著) ここで確信するのだ、スローターが書こうとしているのは「被害」というものなのだと。あんなふうに容赦なく身も蓋もなく暴力を描くのは、暴力とはそういうものであり、それがいかに痛ましく醜悪なのかを、安全圏にいる読者に伝えるためなのだと。暴力がどれほど被害者の心身を破壊するか。どれほど無惨に被害者から尊厳を奪ってしまうか。それを伝えるために、小魚が飛び出して男たちが笑う場面があり、刑事の眼前で被害者に絶望の自死を遂げさせ、凌辱の末に殺された者から尿が漏れ出す描写がある。
    Bびー2026年7月10日
  • 引用p.8
    ハードボイルドは世界との軋轢のなかで個人の正義の在りようを問うものであり、つまりは個人の尊厳をいかに貫こうとするかを描く物語で、そこに男も女もないはずなのだ。
    Bびー2026年7月9日

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