内容紹介
単に、人生を描くためなら、地球に表紙をかぶせるのが一番正しいー誰もが無頼派と呼んで怪しまぬ安吾は、誰よりも冷徹に時代をねめつけ、誰よりも自由に歴史を嗤い、そして誰よりも言葉について文学について疑い続けた作家だった。どうしても書かねばならぬことを、ただその必要にのみ応じて書きつくすという強靱な意志の軌跡を、新たな視点と詳細な年譜によって辿る決定版評論集。
レビュー
人間であるがゆえに人は堕落する。そのため、「そこ」からが出発点である。そのような主旨であったか。戦時中の話の割合が多く、「昔は良かった」的な話も混じるが、安吾は決して戦争を賛美している訳ではなく、戦争という非常事態から脱するや否や物騒になる世間や政治を批判している。『続堕落論』も読んだ。こちらの方がより難解に感じたけれど、『堕落論』よりも頁数が少なく、『堕落論』を読んだ後の理解がより深まったように思った。『堕落論』は再読な気がするが、記憶に残っていなかったので新鮮な気持ちで安吾節を味わうことができた。
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