引用
(彼女を殺せなかったものが 『開かれた瞳孔』カリン・スローター著) ここで確信するのだ、スローターが書こうとしているのは「被害」というものなのだと。あんなふうに容赦なく身も蓋もなく暴力を描くのは、暴力とはそういうものであり、それがいかに痛ましく醜悪なのかを、安全圏にいる読者に伝えるためなのだと。暴力がどれほど被害者の心身を破壊するか。どれほど無惨に被害者から尊厳を奪ってしまうか。それを伝えるために、小魚が飛び出して男たちが笑う場面があり、刑事の眼前で被害者に絶望の自死を遂げさせ、凌辱の末に殺された者から尿が漏れ出す描写がある。
p.68 ・ Chapter2 苦痛の中から
