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『ファイア・ドーム(上)』の感想を書きました

ファイア・ドーム(上)
ファイア・ドーム(上)辻村 深月

この本のテーマはなんだろうと考えた時、自分の中では「噂」なんだろうと思った。 かつて起きた、百貨店の受付嬢の誘拐殺人、それを発端とした家族への心ない噂、それに苦しめられ続けてきた家族。 そして新たに起こる子供の行方不明事件。 この行方不明事件でもまた、最後の目撃者となった担任が勝手な噂で苦しめられる。 現代でもこうしたことは度々起きている。報道の限られた情報だけで、あいつが怪しい、これはおかしいなどと根拠のない推理がインターネット上で繰り広げられ、挙句の果てに、これが関係者だ、本当の犯人だなどと、個人情報を勝手に晒す人間、それを面白おかしく拡散する人間も現れる。 そこには何ら責任感もなく、根拠もない、ただ自分の曲がった欲望を満たすためにやっているので、それが間違っていて、そのことで苦しめられた人がいても何ら責任も感じないのだ。 そんな人達にこそ、この本を読んでほしいが、悲しいことに、想像力のカケラもない人達が、普段小説を読むようなことはないだろうし、きっと大半には届かない。 でもこんな時代にこの小説が産み落とされたことに、大きな意義があると信じたいと思った。 筆者の強い想いが感じられる傑作であることは間違いないのだから。 ※上巻への感想になってるけど、上下巻読んだ上の感想です。

感想

『タラント』の感想を書きました

タラント
タラント角田光代

メインであるみのりの話と並行して展開される、祖父の話(最初は誰の話なのかは分からないが)。 みのりのアンマンでの話や、祖父の体験したことなどは、考えさせられる内容だった。 平和な日本で生きていたら考えることはないであろう出来事や人々の暮らしも、知ってしまうと、このまま呑気に生きていていいのだろうかと、変な焦りになるのだろう。 確かに戦争、内戦、テロ、民族紛争など、今でもどこかの国では明日生きているのかすら分からないほど緊迫して生きている人もいるのだろう。 ただ、結局日本は平和だから、いくら心を痛め、不安になろうとも、、食べるものを心配するとこもなければ、夜で歩くこともできる。 平和ボケに浸りながら、どこか遠くの国で起きている出来事に心痛めるのは、贅沢の極みなのかもしれない。

感想

『未明の砦』の感想を書きました

未明の砦
未明の砦太田 愛

犯罪者、幻夏、天上の葦とは違い、お馴染みの三人は出てこなかったので、今作限りの登場人物なんだろう。ストーリーとしては、なぜ派遣工の4人は警察に追われているのか、を過去から辿っていく構成。 著者は毎作何かしらの社会問題をテーマに取り入れてるが、今作は労働法になるのかな。共謀罪もフォーカスされているが。 企業と労働者、そして日本がどんな経緯で労働に関する法律が作られてのか、考えさせられる内容。 ただ残念なのが、どうも著者の政治的思想が強すぎるのが気になってしまう。 そこが著者が強く伝えたいメッセージなんだろうけど、あまりに偏っている見方なので、読んでて受け入れられない思想だった。 毎回面白い作品を世に出しているが、天上の葦から、少し政治色が強すぎるかな。

読了

『未明の砦』を読了として記録しました

未明の砦
未明の砦太田 愛

太田愛さんの小説は今のところ全て読んでるが、天上の葦から著者の政治的思想が強く出始めてるのがちょっと萎える。それが伝えたいことなんだろうけど、ストーリーは面白いだけに、共感できない点が残念。

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