内容紹介
人はなぜ大きな事件に魅了されてしまうのか 噂は、軽薄な娯楽だ。 25年前、平穏だったはずの地方都市は、百貨店受付嬢誘拐殺人事件の発生、その報道により揺り動かされ、「噂」という大量の炎が、加害者のみならず被害者にも降り注ぎ、燃えさかった。ようやく静けさを取り戻したかに見える町に燻り続ける因縁が、いま新たな事件を呼び起こすーー。 「もう言われてるよ! どうせ、親が殺したんだろうって!」--本文より 【編集担当からのおすすめ情報】 「今の私のすべてをかけて、書き上げました。 『ファイア・ドーム』、どうぞよろしくお願いいたします」 ーー辻村深月 デビュー22周年記念刊行作品 渾身の本格的現代長編ミステリー! 執筆開始から7年。ついに完成した、2026年を席巻する記念碑的傑作!
レビュー
- NON HAL
2026年6月21日
噂の責任
この本のテーマはなんだろうと考えた時、自分の中では「噂」なんだろうと思った。 かつて起きた、百貨店の受付嬢の誘拐殺人、それを発端とした家族への心ない噂、それに苦しめられ続けてきた家族。 そして新たに起こる子供の行方不明事件。 この行方不明事件でもまた、最後の目撃者となった担任が勝手な噂で苦しめられる。 現代でもこうしたことは度々起きている。報道の限られた情報だけで、あいつが怪しい、これはおかしいなどと根拠のない推理がインターネット上で繰り広げられ、挙句の果てに、これが関係者だ、本当の犯人だなどと、個人情報を勝手に晒す人間、それを面白おかしく拡散する人間も現れる。 そこには何ら責任感もなく、根拠もない、ただ自分の曲がった欲望を満たすためにやっているので、それが間違っていて、そのことで苦しめられた人がいても何ら責任も感じないのだ。 そんな人達にこそ、この本を読んでほしいが、悲しいことに、想像力のカケラもない人達が、普段小説を読むようなことはないだろうし、きっと大半には届かない。 でもこんな時代にこの小説が産み落とされたことに、大きな意義があると信じたいと思った。 筆者の強い想いが感じられる傑作であることは間違いないのだから。 ※上巻への感想になってるけど、上下巻読んだ上の感想です。
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