内容紹介
【新書大賞2026受賞!】 人生の変わる場所──。 カウンセリングが、いま社会へとひらかれる。臨床心理学の歴史に打ち立てられた、新たな金字塔。 ■精神分析、ユング心理学、認知行動療法、家族療法、人間性心理学── バラバラに乱立する心理学を俯瞰し、メタな原論が示される。 ■身体を動かす、世界を動かす、からだを動かす、視点を動かす、心を揺らす── カウンセリングは聞くだけじゃない。アクティブに5つの介入がなされる。 ■いかに生き延びるか、いかに生きるか── カウンセリングには二つのゴールがある。生活を守ることと、人生をちゃんと生きること。 「カウンセリングとは、近代の根源的なさみしさのなかで、人が可能な限り、正直に、率直に、ほんとうの話をすることを試み続ける場所である。」──「5章 カウンセリングとは何だったのか──終わりながら考える」より 【目次】 まえがき ふしぎの国のカウンセリング 第1章 カウンセリングとは何か──心に突き当たる 第2章 謎解きとしてのカウンセリング──不幸を解析する 第3章 作戦会議としてのカウンセリング──現実を動かす 第4章 冒険としてのカウンセリング──心を揺らす 第5章 カウンセリングとは何だったのか──終わりながら考える あとがき 運命と勇気、そして聞いてもらうこと
レビュー
心の不思議
心というのは一種のシステムのよう。社会を営む人間が全てを毎回脳で一から演算していたら忙しすぎるから、心を使って省エネにしているんじゃないかって。でも、心は(脳も)過去を捨てるのがとても苦手なんだろう。『新しい物語を始めるよりも、古い物語を終わらせるほうがはるかに難しい』という言葉に、核心を突かれたような気がした。そして、捨てるためには人と人との繋がりが必要であるという言葉も。 過去には必要だったけれど今は自分を不自由にさせている物語を終わらせて、今の自分が自由に生きられる物語を探すこと。そのパートナーとしてのカウンセラー。カウンセリングで変化を起こすには、ユーザー側の頑張りや勇気や忍耐がそれなりに必要なのだろうな。だけどそれを引き出すのも、どちらか任せじゃなくお互いの力なのだというのがカウンセリングの特別さ、不思議さのように感じた。 結局心が物質的なものでなく解明もされていない以上、明確で具体的ではっきりとした何かを説明するのは難しいのだろうけど、はっきりとしない何かを感じ取ることが出来るのもまた心なんだなあ、という、読後の感想と心の面白さ。
みんなの引用・メモ
- 引用p.405第5章 カウンセリングとは何だったのか
「誰も私を一番にしてくれなかった。それがずっとさみしかったんだと思う」 「ああ、なるほど」 僕は胸が締め付けられるような気持ちになりました。母親や父親、上司や夫、そして恋人。彼女の人生の登場人物が思い出されたし、僕と彼女が幾度となく迎えた嵐の夜が思い出されました。 「でも、ふつう、みんな自分が一番なんですよね」僕の痛みを打ち消すように、明るい声で彼女は言いました。 「そうなのかもしれない」 「多分、自分だけが自分を一番だと思えていなかったんです。ここに来て、それがわかったのが、一番大きかった気がします」
しま2026年5月4日 - 引用p.69第1章 カウンセリングとは何か
カウンセリングとは人間が自由な個人になり、そしてそのことで孤独と責任を負うことになった近代の副作用に対処するために生まれてきたテクノロジーである。
しま2026年5月3日