内容紹介
第21回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作 「認知症の老人」が「名探偵」たりうるのか? 孫娘の持ち込む様々な「謎」に挑む老人。 日々の出来事の果てにある真相とはーー? 認知症の祖父が安楽椅子探偵となり、不可能犯罪に対する名推理を披露する連作ミステリー! <最終選考委員選評> ●レビー小体型認知症を患う老人が安楽椅子探偵をつとめる“日常の謎”系の本格ミステリー連作。ラストがきれいに決まっている。 (大森望/翻訳家・書評家) ●マニア心をそそられる趣向が凝らされており、古典作品へのオマージュも好印象。ディーヴァーのリンカーン・ライムのヴァリエーションのようだ。 (香山二三郎/コラムニスト) ●キャラクターが非常に魅力的。彼らの会話がとっても楽しい! 全体を通しての空気感、安定感が秀逸でした。魅力的な物語を書き続けていける方だと確信しました。 (瀧井朝世/ライター) <あらすじ> かつて小学校の校長だった切れ者の祖父は、七十一歳となった現在、幻視や記憶障害といった症状の現れるレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた。 しかし、小学校教師である孫娘の楓が、身の回りで生じた謎について話して聞かせると、祖父の知性は生き生きと働きを取り戻すのだった! そんな中、やがて楓の人生に関わる重大な事件が……。
レビュー
RayNa2026年5月23日
解けない謎の余韻に浸る
ネタバレを含むレビューです (タップで表示)
第一章〜第四章は、小学校教師の楓や周囲の出来事を祖父が淡々と解決していく構成。 正直ここまでは、楓自身が謎を解くわけではないので少し物足りなさもあった。 でも一気に面白くなるのが第五章・第六章。 【まぼろしの女】 同僚の岩田が事件に巻き込まれ誤認逮捕。 目撃者の女性の正体が分からず、祖父の推理で居場所を特定→無事無実が証明される。 その後、岩田の後輩・四季が楓に「たんぽぽ娘」をプレゼント。 さらに名台詞を使って告白する。 「楓先生。一昨日と昨日と今日だけじゃありません。僕は初めて逢ったときから、ずっとあなたのことが好きです」 本をプレゼントすることで遠回しに気持ちを伝えたこと、変人で初対面から対応が冷淡だったのにストレートに告白するギャップにやられた🫰 【ストーカーの謎】 楓は迷惑電話がかかったり何者かにストーキングされていた。 祖父に相談した次の日、楓は何者かに襲われ拘束され、気付いた時には祖父の家の居間にいた。 祖父と言語聴覚士とのやりとりが聞こえており、祖父が言語聴覚士に孫娘がストーカー被害に遭っていると話した。 そこから祖父はだんだんとストーカーの正体が目の前にいる言語聴覚士であると言い当てる。 しかもその正体は、母・香苗を殺した元恋人。 楓を母の代わりのように執着していたというのが怖すぎる。 豹変したストーカーが祖父に危害を加えようとした時、四季が楓を助けにきて、祖父が腕絡みして、岩田がストーカーを殴りにきた。 実は2人は楓を守るために警護していたと後から判明した。 そしてラスト。 楓が祖父に相談するシーン。 「わたしね 初めて、好きなひとができちゃったかもしれないんだ」 「ふたりとも好青年だからね。(略)ぼくが楓だったとしても大いに悩むところだよ。(略)」 「楓。煙草を一本くれないか」 相手は明言されないまま終了。 これが“リドル・ストーリー(結末を読者に委ねる物語)”。 でも読者はみんな同じ答えを出すのではないかな。 第五章と第六章は涙流しながら読んだ😭 ミステリーなのにキュンとするとは思わなかった…! 読んでて楽しかった✨
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